どう戦う?トランプ関税 アメリカ企業が抱える課題と対策
- Melissa

- 8月6日
- 読了時間: 3分
更新日:9月11日
アメリカ企業が長年活用してきた関税対策、フォーリン・トレード・ゾーン(FTZ)。
この制度の要とも言える「逆転関税(Inverted Tariff)」は、トランプ政権下での政策変更によって封じられ、多くの企業に深刻な打撃を与えました。
今回は、この制度改変がどのように企業活動を直撃しているか、そして企業はどのような策を講じているのかを、事例とともに解説していきます。

そもそも「逆転関税」とは?
通常、部品や素材を輸入すると、その都度関税が課されます。 しかしFTZ内で加工して「完成品」としてアメリカ市場に出荷すると、完成品の関税率(多くの場合低率)での申告が可能に。
これにより、部品よりも完成品のほうが関税が安くなる逆転現象が発生。
➡ これが「逆転関税」と呼ばれる仕組みです。

トランプ関税により導入した新ルール
中国を中心とした関税引き上げ(いわゆる「トランプ関税」)の一環として、
逆転関税の利用を制限
FTZにおいても、「完成品の関税」ではなく部品レベルの関税を課すことを義務化
という新ルールが導入。これにより具体的に次のような影響が出ています。
企業は、従来のように低い税率で完成品を申告できなくなった
関税コストが最大で125%増加したケースも
キャッシュフローへの打撃、価格転嫁、雇用調整などが発生
実際の企業の声
Givens社(FTZサポート企業):
以前は、企業がコスト削減のためにFTZを導入する事例が多かった
トランプ関税の直後、相談件数は5日で65件以上に急増
しかしその後、「FTZの魅力が薄れた」と語る
「FTZでの加工や完成品申告の意味がなくなった。制度は残っていても、実質使えない状態に近い。」
Regent Tech社(路面標示材メーカー)
製品の65%がアメリカ製だが、35%は輸入素材
FTZを活用し、完成品の低関税を適用することで年間400万ドル以上を節約
しかし新ルールにより、この節税効果が消失
顧客への販売価格を7%引き上げざるを得なくなった
「競争力を失うリスクが高まっている。」
このルール変更の本質
トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げ、国内製造業の保護を目指した
しかし実際には、国内外のサプライチェーンに依存する企業ほど打撃を受けた
特にFTZという法制度を駆使して戦略的に関税を最適化していた企業にとって、今回の変更で制度の土台が根本から揺らいだといえるでしょう。
そして今、企業はどう動いている?
今まで見てきた変化に伴い、一部の企業は「保税倉庫(Bonded Warehouse)」の利用に切り替えています。保税倉庫の利用には次のようなメリットがあります。
5年間の関税猶予が可能
輸入タイミングの調整で関税コストを管理できる
ただし、加工・組立には制限があるため、万能ではない

今後に向けて企業がとるべき方針は?
トランプ氏が大統領に正式に就任した2025年、企業にとって重要なのは次の3つのポイント。
「関税政策は変わるもの」という前提で経営戦略を練ること
制度(FTZ/保税倉庫など)の特徴と限界を見極めること
サプライチェーンの柔軟性を高め、関税リスクを分散すること

トランプ関税による影響を受けるのはもちろん大企業だけではありません。中小の越境EC事業者も当然ながらダメージを被ることに。税制や制度を理解したうえで、物流・価格・販売先戦略を柔軟に設計できるかが鍵になってくるでしょう。
朝起きたら、関税が変わっていた-これは、現代のビジネスにおける「新しい日常」なのかもしれません。
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